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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)2062号 判決 1949年12月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意について。

右は寛大な裁判を求めるというに過ぎないのであるから適法な上告の理由としては採り上げることはできない。

弁護人二関敏の上告趣意について。

原判決が、第一審第一回公判調書を事実認定の証拠として採用していること、及び、第一審公判調書は二通あって、一は公判開廷の日が昭和二三年一〇月三〇日と記載されているが、他は單に昭和二三年とあるのみで月日の記載のないことは、弁護人主張のとおりである。しかしながら(一)「一〇月三〇日の調書」には、第二回公判調書と明記されていること(二)記録をみれば「月日の記載のない調書」は、その前に編綴されていること、(三)右調書の末項に「裁判官は結審し判決言渡期日を來る十月三十日午前九時と指定告知し訴訟関係人に出頭を命じたり」との記載があること(四)原判決引用の証拠内容と右調書の記載内容とが符合することからみて、原判決の引用した第一審第一回公判調書というのは、右「月日の記載のない調書」をさすものであることは疑のないところである。しかして、右調書には公判開廷の月日の記載のないことは前述のとおりであるが、記録を調べてみると、記録表紙の開廷日欄には一〇月二八日及び一〇月三〇日宣と記載されてあって、右両日の外には第一審公判期日は開かれていないこと、第一審各弁護人の一〇月二八日午前九時の公判期日請書が記録に綴込まれてあり、しかも、問題の調書には右各弁護人が出頭した旨の記載があることから推して考えれば、該調書に遺脱している公判期日は、昭和二三年一〇月二八日であることを明瞭に認めることができるのである。公判開廷の年月日を公判調書に記載することは、旧刑訴第六〇條の要求するところではあるけれども、この記載を欠く場合に常に公判調書が当然無効になるものと解する必要はない。公判開廷の月日が公判調書自体の記載では判明しなくとも、本件のごとく記録の他の資料から事実上公判の開廷された月日が明瞭に認識し得る場合は、如上の欠缺は公判調書の無効を來すものでなく、同調書の記載内容は十分に証拠力を有するものと判断するのが相当である。從って右公判調書を証拠とした原判決に所論のような違法あるものとすることはできない。論旨は理由がない。

よって、刑訴施行法第二條、旧刑訴第四四六條に從い、主文のとおり判決する。

右は、全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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